企画から
製品まで
ネクタイ生地の製造においては、かつてデザイン、意匠、製織が分業されるOEM型が主流でした。
しかし現在では、それらを一体として設計・提案するODM型へと移行しています。
GENETEX JAPANもまた、意匠と設計を統合し、構造から表現までを一貫して構築するものづくりを行っています。
企画デザイン
企画は、マーケットトレンドやシーズン性の分析から始まります。
国内外の動向、色彩傾向、スタイリングの変化を踏まえ、方向性を定めた上で、長年蓄積してきたアーカイブ資料から着想を得てデザインを構築していきます。
ネクタイにおける意匠設計で最も重要かつ難易度が高いのは、テキスタイルデザインと並行して行う織組織の設計です。
ジャガード織では、単なる図案ではなく、組織構成そのものが表現に直結するため、柄と組織の整合性が不可欠となります。
紋意匠の設計においては、経糸・緯糸の打ち込み本数(密度)、糸番手、撚糸構成といった要素を総合的に検討し、最適なバランスを導き出します。
これらの設定により、生地のドレープ性、表面の凹凸感、光沢の出方といったテクスチャーが大きく変化するため、わずかな調整が仕上がりを左右します。

サンプル及び生産前準備工程
意匠設計が完了した後、まず試織を行い、設計通りの組織・風合いが再現されているかを確認します。
ジャガード織では、紋意匠と実際の織り上がりに差異が生じることもあるため、組織の締まりやテクスチャー、柄の再現性を実機で検証することが不可欠です。
試織後は配色設計を行い、カラーサンプルを製作します。
複数パターンを検討しながら最適な配色を決定します。
完成したカラーサンプルは取引先へ提出し、仕様確定後に量産へと移行します。
量産が決定すると、生産数量に基づき原材料の手配を行います。
まず糸在庫を確認し、不足分については原料メーカーへ発注、その後、染色工程、整経工程へと順次手配を進めます。
織機に経糸が掛かっていない場合には、タイイングマシンを使用し、新規経糸を既存の経糸へ結束することで、迅速に製織準備を行います。
この工程により、段取り替えの効率化と生産ロスの低減を図っています。
なお、意匠はかつて紋紙によって管理されていましたが、現在はデジタルデータとして運用されています。
これにより、意匠修正やパターン変更への対応が迅速かつ柔軟となり、試作から量産への移行精度や管理体制が大きく向上しています。

製織工程
製織工程において最も重要なのは、織機およびジャガード装置のコンディションを常に最適な状態に維持することです。
注油状態、各部品の摩耗・欠損、機内の清浄度、余分な油の付着の有無などを日常的に点検し、安定した稼働環境を確保します。
また、製織中は緯糸の挿入長さ、経糸・緯糸のテンションバランス、開口状態を随時確認しながら運転を行います。
わずかな張力の変化や異常音は品質に直結するため、織機の発する音や振動も重要な管理指標となります。
適切に整備された織機は極めて静粛に稼働し、トラブルによる停止が少なく、安定した連続運転が可能となります。
使用している織機は1990年代製のレピア織機で、回転数は約160〜170rpmに設定しています。
最新鋭機のような高速運転ではありませんが、可動部へのアクセス性に優れ、部品の調整や改良が行いやすく、糸条件の変化にも柔軟に対応できる特性を持っています。
ネクタイ生地は、均一大量生産ではなく、素材や組織によって質感が大きく変化する高付加価値領域が求められます。
そのため、機械性能の最大化ではなく、織機の特性を活かした制御と調整を重視しています。
日々のメンテナンスと継続的な改良により、稼働効率の最適化を図ると同時に、
生地の質感や表現に対してより高い精度を実現すること。
それがGENETEX JAPANにおける製織の考え方です。
